夢見草子

桜の別名を夢見草といいます。徒然なるままに休み続ける日々。

2018-01-01から1年間の記事一覧

水中のめざめ

26歳になった。なんかびっくりしている。もうずいぶん大人だなぁという気持ちと、いつか長い人生を振り返ればまだまだ若いうちに入るのだから、まだまだこれから!という気持ち。26年の人生の記憶の中では、まだ子どもだった頃の方が長くて、正直大人の生活…

生きるためのケーキ

メリークリスマス。とはいえ今日は平日で、普通に仕事だ。昼休みに外出すると、いつもランチタイムに行列を作っているコンビ二やチェーン店のカフェの前に赤や緑のクロスをひいてデコレーションされたテーブルが置かれ、サンタ帽をかぶった店員がチキンやク…

異世界への入り口

メリークリスマス。今夜はクリスマスイブ。そんな夜、先日の骨折で家でおとなしく過ごそうと考えていた私は現在渋谷のスターバックスでこの文章を書いている。年末年始の休みが合わない友人がつい先日、「24の仕事終わりなら空いてる!」ということになり、…

下町アレルギー

25年過ごした私の地元は下町らしい下町だった。東京の端っこの町で、駅前の商店街はこのご時世にしてはにぎわっているし、夜遅くても飲み屋からは常連客たちの大笑いする声がドアが閉まっていても聞こえてくるほどだ。 東京の下町というと、「ちょっと電車に…

藍色の海の中へ

先週末に女4人で温泉旅行へ伊豆に行った。私は温泉が大好きなのだが、とくに冬の温泉は最高だ。熱海の花火大会にいくのがきっかけになったのだが、宿も部屋も張り切って自分で予約した。(自由に決めさせてくれてありがとう) とにかく初日から奇跡みたいに楽…

君の声で聴きたい歌

カラオケが好きだ。学生時代に一人暮らしをしていた頃は、眠れない夜によく一人で3時間くらい行っていたし、飲み会終わりにそのままカラオケオールなんてこともしょっちゅうだった。当時はだいたいその2パターンしかなくて、カラオケオールか、そのカラオケ…

白い手を今重ねて

彼と付き合ったのは二十歳の冬の、とても短い期間で、ちょうど今の季節だった。 その5年後の、今年の夏の終わりに、1年前の春に彼が死んだことを知った。 彼は地元の同級生で、同じ学校に通っていた頃は一度も話したこともなかった。おそらく事務的な連絡を…

星の読み方

11月最後の日、仕事終わりに家から歩いて行ける大きなスーパー銭湯に行った。ある日ポストにその銭湯の地域住民限定の1人1000円引きになるクーポンが入っていて、わりと近所に住んでいるハルカちゃんと行こうという話になった。なのにそのクーポンを忘れた私…

スイートシート

かつて、映画を観に行ってそれきりになって別れた人がいた。彼の家はとても遠くて、新幹線に乗って会いに行っていた。 彼の家の近くには、大きな公園とその敷地内に大きな商業施設があった。そこでデートをするのが私はとても好きだった。(ずっと東京で育っ…

優しい名前たち

自分と似たような名前の人に、勝手に親近感を覚えてしまう癖がある。 誰かと仲良くなる時、あるいは恋人ができる時なんかも、お互いに初めて会った時から「なんとなくこの人とは良い関係になれそう」と察することがあると思う。 第一印象として顔立ちや服装…

主役たちの世界

人生の主役は自分だと思う。「主人公感覚」という言葉を知ったのは、確か児童心理学の授業だった。 私の大学の学部は教育学科と心理学科があり学科をまたいで自由にとれる授業が多かった。私は教育学科だったけれど、教師になりたかったわけではないので、学…

空色の傘

家を出る時は霧雨程度しか降っていなかったのに。今日一日、ふと顔を上げるたびに目に入る止まない雨を見て、何回そう思ったことだろうか。なんでこんな強い雨の日に、傘を忘れてしまったのか。普段しているはずの置き傘が、家の傘立てで留守番しているのか…

恋を語れば

「恋って何だと思う?」 華金の中華料理屋で、恋について語り合った。ただその時の私は、一週間の疲れからかひどく酒が回って寒くて震えが止まらなくて、ろくな回答ができなかったので、改めてちゃんとまとめたいと思った。 恋に縛られるのは、好きな人や付…

東京

東京出身の人と、東京で過ごした土曜日だった。 元々知っていて行きたかったピザ屋、一人で来たことがあって誰かと行きたかったカフェ、遠い昔の恋人との思い出の飲み屋。たくさんの行きたかった場所に行って、ぜんぶが楽しかった。 体調も食欲も復活したの…

川にまつわるエトセトラ

育った家の最寄駅は、川の名前だった。そのせいもあるのか、川が好きだ。 生まれてから3年間、道路を挟んで川の目の前の家に住んでいた。その家で撮った写真を見ても間取りをはっきりとは思い出せないが、川に臨む広いベランダのある家だった。新しい家から…

ぱりぱり

静寂に包まれた部屋の向こうから、ぱりぱりと音がする。ゴミ袋の中から。 ゴミ箱の中で、細かいゴミをまとめた小さなビニール袋たちがぎゅうぎゅうになっていたのでいい加減大きなゴミ袋に移して捨てた。そんな密着していたビニール袋がゆっくりと空気を含ん…

映画

映画を観た。 人と二人で映画を観たのは久しぶりだった。 すごくいい映画だったし感動したけれど、思いの外ほろりとくらいしか泣かなかった。その人と二人で映画に行ったのは初めてだった。最近まであまり話したことのない人だった。 先日、飲み会の帰り、快…

親友

地元の親友と食事をした。前日の夜、親友の彼氏も私と飲みたいと言っているから連れてきていいか聞かれ、もちろんOKした。 彼と会うのは初めてではなかったし、なぜ三人で会いたい、ということになっているのか、なんとなくわかっていた。 会って店に入ると…

はたらくおんな

あしたは土曜出勤日だ。 といっても、私の仕事相手は主に他社の人たちで、その人たちが土曜日でおやすみなのだから、あまりやることがない。 雑用や仕事に役立つ資格試験の勉強でもして過ごそうとおもう。 社会人になって、一年半が経つ。 思ったより大変な…