夢見草子

桜の別名を夢見草といいます。徒然なるままに休み続ける日々。

星の読み方

11月最後の日、仕事終わりに家から歩いて行ける大きなスーパー銭湯に行った。ある日ポストにその銭湯の地域住民限定の1人1000円引きになるクーポンが入っていて、わりと近所に住んでいるハルカちゃんと行こうという話になった。なのにそのクーポンを忘れた私はほんとうにぽんこつだし、笑って許してくれるどころか1ミリも怒らなかったハルカちゃんの寛大さは素晴らしいと思う。今日の感謝感動を忘れずにこの友情を全力で大切にしたいと思う。

スーパー銭湯は大きくて、お風呂もサウナも色々あった。屋上には足湯もあるし、露天風呂も数種類ある。私は今の家に引っ越す前から何度か来たことがあるのに、この近くにずっと住んでいるハルカちゃんは初訪問ということに衝撃を受けた。でも案外、地元の有名どころって地元民は行かなかったりする。

寒いと呼ぶには心地よ過ぎる夜風を受けながら入る露天風呂は最高に気持ちいい温かさで、永遠に浸かっていられそうだった。寝湯に横たわったとき、快晴の夜空に光る星が見えた。街の明るさが差し込んでいて、決して綺麗な星空というほどではなかったけれど、それでもいくつかの星が出ていることははっきりわかった。

やけに縦3つに並ぶ星があった。よく見ると、オリオン座の真ん中の星3つだった。

私のわかる唯一の星座がオリオン座で、あとは何もわからない。私自身はやぎ座なのだけれど、やぎ座がどういう構成の星座なのかも未だにわからない。何回か多分みたことはあるのだけれど、何回も忘れてしまう。星座って大体なんでその形でそれなの?っていう構成じゃない?星座が読めない人たちはわかってくれると信じる。ただ、誕生日の季節の夜空にやぎ座はない、ということだけは知っている。

オリオン座の発見をとなりのハルカちゃんに報告する。その時知ったのだけれど、ハルカちゃんは星座に詳しい子だ。オリオン座の端っこのオレンジの星がもうすぐ爆発すると言われていることや、爆発したら昼でも見られるようになること、やぎ座は夏に見られる星座ということ。私がaikoの歌を思い出して「夏の星座にぶら下がるやつだ」と言うと、「やぎ座はぶら下がりやすそうな形だよ」と優しく教えてくれた。

温泉を楽しみ尽くして、2人で歩いてハルカちゃんは駅まで、私は家まで歩いた。歩きながら身体が元気になったことや、肌の潤いを実感しては、明日の出かける予定のことに思いを巡らせて、また楽しくなる。いつものように好きな歌の話や、写真の話をしながら、私たちは別れた。またすぐ会えるのがほんとうに嬉しい。

家に着くと、12月が始まっていた。溜まっていたLINEを返し、忘れる前にカレンダーを破る。今月、ほとんどの土日には楽しい予定が詰まっている。待ちわびていたボーナスも入る。同時に、忘年会も立て込んでおり胃腸と肝臓が今から心配だ。そして、月の終わりには私は25歳から26歳になる。

歳を重ねたところで相変わらず星座が読めそうにない。そもそも美しい星空を生で見たのはいつが最後だろう。ずっと東京で育ち、この夏の終わりに神奈川の都市部に越して来てから、どこかほんとうに遠くへ旅行にいく余裕も予定もない。作ろうと思えば作れそうなのに。

26歳は、どこかのタイミングで大自然に出かけよう。その時くらい、星座をいくつかは覚えていこうと思う。