夢見草子

桜の別名を夢見草といいます。徒然なるままに休み続ける日々。

7/15

連休中日のハナシ。テレビを観て過ごしていたら急に腹痛に襲われた。トイレに行こうとして立ち上がった足に力が入らずそのまま床に滑り込むように崩れ落ちた。手が痺れ、指が硬直して開かない。気を抜いたら意識が飛びそう。汗が出ているのに体はどんどん冷えていく。こわい。こわい。

スマホを床に落として、開かない指を振り下ろすように当てながら1、1、9とうつ。3桁で助けが呼べるシステム、なんてありがたいのだとつくづく思った。

 

あっというまに救急車がきた。助けが来るとわかったからほっとしたのか、上半身はどうにか起こせる程度に回復していた。それでも腹痛と手の痺れ・震えが止まらなくて、マンションの入り口の解錠ボタンを押すのも一苦労だった。

 

ここで強く思ったことがある。将来どんな金持ちになってもタワマンの高層階には住まないし、大切な友人には住まないでほしい。今の二階の家でさえ、運び出されるのに一苦労したのだ。あんな高いところに住んでたら、救急車を呼んでも待っている間に死ねる。絶対住まない。

 

話を戻す。一人きりで倒れて意識さえ飛ばしてそのまま息絶えてしまったら、誰からも気づかないのだろうと思うと、とても寂しくて苦しくて怖くなった。

 

汗だくなのに氷のように動かない身体は救急隊によってテキパキと救急車に運ばれ、横たわっていてもわかるほどにすごいスピードで街を走っていく。なるほど救「急」車というだけのことはあるなぁなんて考えられるほど、心に余裕ができていた。相変わらずお腹は痛かったけれど、「もう大丈夫ですよ」となんども言われると安心できたし、車内では身体が固定されていたので身体が動かないことはあまり気にならなくなっていたし、疲れ果てていたのかいつのまにか気を失った。眠ったという実感はなく、フッと意識が途絶えたような感じだった。

 

目がさめると救急隊の方々はもういなくて、はこばれた先の病院の先生に声をかけられていた。となりのベッドに運ばれてきた人が随分とうめき声を上げていて、たくさんの医師・看護師たちが はーい痛かったですねーもうすぐ終わりますよーとかわるがわる声をかけていて、そっちが気になってしまった。

「ここ、どこかわかりますー?」

と声をかけられ、私は私の質問に答え、あっという間に処置が終わって、いったん薬の効きを待つために別の部屋に運ばれた。

病院内は圏外だった。しばらく放置され、ほんとうに一人きりの時間を過ごした。

身体はもう自由に動くようになっていたけれど、さっきまでたくさんの人に構われていたからかとんでもなく寂しかった。

薬の効きを確認して、時間外の高い治療費を支払って病院を出る。やっと電波の繋がった携帯電話に、友人からの連絡がいくつか入っていて嬉しかった。

 

まだしねない。しにたくない。強く思った。