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暗い話なので、読みたくない人はここで実家の猫でも見て和んでください。
ある時から、自分は表に出てはいけないと思っていた。
私の名前や顔を見るだけで、嫌な気持ちになる人がいる。
そう思って生きてきた。
ネット社会では、ほんとの名前や顔は出さない方がいい。だからわざわざ、表に出る必要もないと思った。自分を出さないと決めてしまえば楽だった。
それでもいつからか、何かが崩れていった。それでもおとなしく過ごすことでことなきを得ていた。
そして、短歌を始めたとき。ほんとうに軽いノリだったので、名前は本名から派生したあだ名を使った。
その後、ちゃんと応募などするにあたり名字をつけることになったとき、本名を少しだけ変えた苗字にした。なんとなく、まるまる違う苗字を名乗るのは恥ずかしかった。
たまに顔を出した写真を載せたりした。同世代の短歌からできたネットの友人たちがそうしていたから、自分もやりたくなった。
ゆでたまごの殻がポロポロと剥けていくように、ほんとうの自分を少しずつ出した。そのたびに言い訳を探した。
いつもより盛れた。髪を切った・色を変えた。猫が可愛く撮れた。
そんなこと、本当はどうだっていい。
私は私でいたかった。
私が私でいることにフタをし始めたとき、私が私でいる理由がわからなくなった。
私は、まだ私に迷っている。
自分がわからない。何者かわからない自分を手放した、諦めの塊のような自分をひきずりながら、また明日を過ごすのだろう。