夢見草子

桜の別名を夢見草といいます。徒然なるままに休み続ける日々。

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はじまったばかりの春。昼前に目覚める。充電器に挿し忘れたiPhoneは電源が落ちていた。まったく、ベッドまで届く長いケーブルの意味がない。

スマホの充電を待ちがてら、布団の中でできるストレッチをする。首と足首を軽く回したり、布団の中で上半身を捻ったり、胸を開いたり、膝を抱えてゆらゆらと体全体をゆする。血流が滞っているなぁと実感しながらゆっくり呼吸をする。

音楽を聴きながら駅に向かう。ピアノの音がよく耳に届く。

生まれた時から、家にピアノがあった。大きな本棚と並んで置かれていて、誰がなにもしなくともそこにあり続ける。家の中に生えた大きな木みたいなものだ。

子供の頃はピアノの鍵盤は音の出る積み木とパズルみたいな認識だった。(積めないけど) 昔も今もトトロとネコバスのぬいぐるみが大量に置かれているので、それが尚更大きな木っぽさを引き立てているのかも。誰も弾かないピアノなんてもったいないのかもしれないけれど、「家にピアノがあること」は私にとって大切なことなのです。

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一人暮らしをはじめた大学生。ピアノのない部屋で、私は読書という新しい趣味に出会った。それまで全然してこなかったこともあってその新感覚がたまらなかった。素敵な文章に感動し、都度マーカーをつけて付箋を貼っていた。

久しぶりに付箋だらけの小説を読み返した。昔から好きな文章のタイプは変わらないらしく、今日読んでもまた感動してしまった。そしてまた、こういうのが一生の宝物になるんだってわかる、新しい感覚を知った。